光吸収係数とは

 半導体にIという強さをもった光が入射したとき、この光が半導体中をx cm進んだ位置での光の強さI(x)は、ランベルト-ベールの法則から次の式で表せます。

 I(x)= I-αx

 この式中のαを光吸収係数と言い、単位は[cm-1]となります。

 光吸収係数の値は光のエネルギーが一定の大きさを超えた所で立ち上がり、その後光エネルギーが大きくなるに従って大きくなります。
 光吸収係数の立ち上がるエネルギーの値を光吸収端と言い、この値はエネルギーバンドギャップの値と関連しており、半導体ごとに異なる値を持っています。
 また、光吸収端で立ち上がった後の光吸収係数の増加の傾向も半導体ごとに異なる特性を持っています。

光吸収係数の影響

 下のグラフは、光吸収係数αの値が100 cm-1、1000 cm-1、10000 cm-1の時の光の減衰の様子を描いたものです。

光吸収係数の影響

 それぞれの光吸収係数において、半導体中を3μm進んだ位置での光の強度は入射光の強度に対して、

  α=100のとき:約97%

  α=1000のとき:約74%

  α=10000のとき:約5%

 の強度となっており、α=10000では95%の光が吸収されているのに対し、α=100のときはほとんど光が吸収されていないことが分かります。

光吸収係数は太陽電池セルの厚さに影響する

 上記のことから、薄膜太陽電池のように薄い半導体で太陽電池を作る際には、厚みがなくても十分に光が吸収されるように光吸収係数が大きな半導体を使用する必要があることが分かります。

 なお、結晶系シリコンの光吸収係数は太陽電池に用いられる他の半導体と比較して小さいため、結晶系シリコン太陽電池は光を十分に吸収するのに、他の種類の太陽電池より非常に厚い数百μmの厚さが必要となってしまします。
 このことが、結晶系シリコン太陽電池の材料使用量を減らすことができない(コストダウンが難しい)要因となっています。

このページの先頭へ