東北大学、シリコン結晶基板の品質と太陽電池特性を瞬時に評価する新手法を開発
東北大学は、同大学金属材料研究所の研究者が、太陽電池用シリコン結晶基板の新しい品質評価方法を開発したと発表しました。
太陽電池の性能は、その原料となるシリコンウエハー中の欠陥や不純物の分布といった不均質性に大きく左右されます。
しかし、現在ウエハーメーカーの出荷検査や太陽電池セルメーカーの受け入れ検査で用いられている、少数キャリアの挙動を測定する以下のような手法では、不均質性の指標は得られるもののその指標と製造された太陽電池セルの性能との相関性が低く、測定結果から太陽電池セルの性能を予測することが難しいという点が課題となっていました。
- 反射マイクロ波光導電減衰法(μ-PCD法)
- 表面光起電力法(SPV法)
少数キャリアのライフタイムを測定
少数キャリアの拡散長を測定
新しく開発されたCRM法の概要
これに対して、今回東北大学の開発した電流変調四探針抵抗率測定法(CMR法)では、連続的に電流量を変化させた変調電流を用いてシリコンウエハーの低効率を測定することで、太陽電池セルの変換効率に影響を与える実効抵抗値を求めることが可能となっています。
CRM法の測定結果
CRM法での測定結果を変調電流量を横軸にとり低効率を縦軸にとったグラフは下の図のようになり、このグラフ上には低効率の値が一定値に飽和する電流範囲(Ith-Is)が得られます。
CRM法の測定結果と太陽電池セル変換効率との相関
このIth-Isは結晶品質パラメータと呼ばれ、この値が大きいほどシリコンウエハーの品質が良いことを表しています。
シリコンウエハーの品質パラメータと、そのシリコンウエハーから作られた太陽電池セルの変換効率の関係を表す下のグラフからも両者の相関関係が確認でき、CMR法による結晶品質パラメータの測定結果から太陽電池セルの変換効率の予測が可能であることが確認されています。
CMRパラメータと太陽電池エネルギー変換効率の相関関係
画像提供:東北大学
なお、今回発表された内容は、CRM法を結晶系シリコン太陽電池に適用したものですが、CRM法はアモルファスシリコンや化合物半導体などの結晶系シリコン以外の太陽電池にも応用が可能とのことです。