パナソニック、HIT®太陽電池で研究レベルでの世界最高変換効率24.7%を達成

 パナソニックは、HIT®太陽電池で、実用サイズ(100cm²以上)の結晶シリコン系太陽電池の変換効率としては世界最高となる24.7%を達成したと発表しました。
 この成果は、厚み98µmのセルで、研究レベルにおいて達成されたものとのことです。

 今回達成した変換効率は、HIT®太陽電池の過去最高値(23.9%)を0.8ポイント上回るとともに、2010年にアメリカのSunpower社のバックコンタクト式のセルによって記録されている、100cm²以上の実用サイズでの単結晶シリコン太陽電池の最高値24.2%を0.5ポイント上回るものです。

 また、今回最高値を記録したセルの厚みが98µmであった点も、省資源化・低コスト化の観点での意義が大きいものです。

 今回の変換効率の向上のために導入・改良された技術には以下のようなものがあります。

●再結合損失の低減
 HIT®太陽電池の特長は、発電層である単結晶シリコン基板表面に高品質のアモルファスシリコン層を積層するヘテロ接合により、伝導電子とホールの再結合を低減できる点にあります。
 今回変換効率の最高値を更新したセルには、新たに確立された、単結晶基板上により高品質なアモルファスシリコン膜を基板表面へのダメージを抑制しながら形成する技術が導入され、その結果、キャリアの再結合損失を低減し、開放電圧(Voc)を従来の0.748Vから、0.750Vへと改善されています。

●光学的損失の低減
 今回変換効率の最高値を更新したセルでは、単結晶シリコン基板を覆うアモルファスシリコン層および透明導電膜層の光吸収損失を低減するとともに、セル表面のグリッド電極の面積を減少させることで、より多くの光を発電層である単結晶シリコンに到達させることが可能となり、短絡電流密度(Jsc)が38.9mA/cm²から39.5mA/cm²へと向上しています。

●抵抗損失の低減
 今回変換効率の最高値を更新したセルでは、高アスペクト化など、グリッド電極の改良を行うことで、電流がグリッド電極中を流れる際の抵抗損失の低減に成功しており、曲線因子(FF)が0.822から0.832へと改善しています。

HIT太陽電池高効率化技術イメージ

画像提供:パナソニック㈱

このページの先頭へ