産総研など、世界的な太陽エネルギー研究機関3者が研究協力覚書を締結

 独立行政法人 産業技術総合研究所 太陽光発電工学研究センター(以下「産総研」)は、国立再生可能エネルギー研究所(米国、以下「NREL」)およびフラウンホーファー研究機構 太陽エネルギーシステム研究所(ドイツ連邦共和国、以下「Fraunhofer ISE」)と共に、2012年7月10日(米国太平洋時間)、米国・サンフランシスコにおいて3者研究協力覚書に調印したと発表しました。
 同覚書の締結により、研究者の相互派遣などを行い、太陽エネルギー利用技術の開発において主導的な役割を果たしている3者の科学的連携の強化を図るとともに、近年の太陽光発電の急速かつ世界的な低価格化と普及に対応するための研究をより一層推進していくとのことです。

●調印の社会的背景
 近年、太陽光発電をはじめとする各種太陽エネルギーの利用量は急速に拡大しており、太陽エネルギーの利用コストは低減しているます。今後、普及拡大にあわせて一層の低減が進むことが予想されており、将来的に太陽エネルギーは、社会における持続的で低炭素のエネルギー供給システムの大きな柱の1つになると見込まれています。一方、利用地域や用途の拡大に伴って研究ニーズも急速に増加・多様化しており、世界的に研究開発の迅速化・効率化の促進が求められています。

●調印に至る経緯
 産総研、NREL、Fraunhofer ISEの3者は太陽エネルギー利用技術に関する世界の主要研究機関であり、産総研は、これまでにも太陽電池の性能評価技術や信頼性評価技術に関してNRELやFraunhofer ISEと個別に協力関係を構築してきましたが、3者が類似の研究計画と目標を持っていることから、今回、3者間で研究協力覚書を結び、さらなる連携の強化を推進することを合意するに至りました。この覚書の締結により、3者間で従来よりも萌芽的・基盤的な領域での研究協力が促進され、共通の目標に向かって研究を加速的に進展させることが期待されます。なお、これまでに産総研は包括研究協力覚書を、NRELとは2009年5月4日に、フラウンホーファー研究機構とは2012年7月6日に締結しています。

●研究協力覚書の概要

  • 研究開発の目標を共通のものへ発展させ、太陽エネルギーをより持続的に利用可能にするための取り組みを推進する。

  • 3者は相互に研究者を派遣し、情報交換・人材交流を行う。

●研究協力覚書締結の意義

  • 太陽エネルギー利用技術開発において、共通の研究開発目標を立て、協力して研究を進めることで、当該分野における技術開発を促進する。

  • 各機関が得意とする技術について、情報交換や人材交流を行うことで、技術をお互いに補完する。

  • 将来的には、3者が太陽エネルギー研究の分野で主導的な立場をとり、この連携を太陽エネルギー研究機関のグローバルアライアンス(Global Alliance of Solar Energy Research Institutes)として発展させていくことも視野に入れる。

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